斉藤浩のブログ

ツィンバロン奏者 斉藤浩のブログです。日々のことを少しずつ書いています。コンサート情報や、感想なども。

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10月24日、愛知県瀬戸市で演奏します 「イール・ツィンバロンと震災の話」

イール・ツィンバロンと震災の話


10月24日(土)、愛知県瀬戸市にある「ナトゥール・ビュフェー 文化センター店」で、コンサートをさせていただくことになりました。

今回は、いつものツィンバロンのコンサートとは少し違います。

演奏だけではなく、僕自身の震災体験や、これまで続けてきた復興支援活動についてもお話ししながら進めるコンサートです。

僕は阪神・淡路大震災の被災者です。

そして東日本大震災のあとには、岩手県を中心に何度も被災地へ足を運び、長い間、復興支援の演奏活動を続けてきました。

令和6年能登半島地震のあとも、

「音楽を通して、自分に何ができるだろう」

と考えながら、支援活動を続けています。


震災のあとに、音楽に何ができるのか

震災のあとに、音楽が何の役に立つのか。

これは、僕自身がずっと考えてきたことでもあります。

音楽には、壊れた建物を直すことも、道路を直すこともできません。

それでも、その場所へ行って、人と出会って、同じ時間を過ごして、音楽を聴いてもらうことはできます。

東日本大震災の復興支援で各地を訪ねていた頃、僕が強く感じたのは、音楽そのものだけではなく、そこで生まれた人との出会いの大切さでした。

まさに「一期一会」です。

そのとき、その場所で出会った方と過ごした時間は、今でも僕の中に残っています。

今回のコンサートでも、そんな僕自身の経験を少しずつお話しできればと思っています。

復興支援演奏。音楽を通して出会った方々との時間は、今も僕の大切な記憶です


今回演奏する「イール・ツィンバロン」

そして今回のコンサートでは、普段僕が演奏しているコンサート・ツィンバロンとは少し違う楽器も登場します。

イール・ツィンバロン(ír cimbalom)です。

イール・ツィンバロンは、ハンマーダルシマー(hammered dulcimer)とも呼ばれています。

打弦楽器には、地域や時代によってさまざまな呼び方があります。

僕自身、長年ツィンバロンを演奏してきましたが、ハンマーダルシマーや揚琴、サントゥールなど、世界各地の打弦楽器にも触れてきました。

形は似ていても、それぞれの楽器には違った歴史があり、音色があり、演奏方法があります。

そうした打弦楽器の違いや魅力を伝えることも、僕にとって大切な活動のひとつです。

今回のコンサートでは、イール・ツィンバロンならではの素朴で柔らかな響きも楽しんでいただければと思っています。

今回登場するイール・ツィンバロン(ír cimbalom)。ハンマーダルシマー(hammered dulcimer)とも呼ばれている打弦楽器です。

音楽と食事、そして震災の話

今回は、会場でトランシルヴァニアの保存食を活用した軽食と飲み物も用意されるそうです。

ナトゥール・ビュフェーは、30年来の親友、奈美ちゃんとアッティラのお店です。今回はトランシルヴァニアの保存食を使った軽食と飲み物が提供されます。

音楽を聴いて、少し食べて、そして震災や復興について考える。

一般的なコンサートホールでの演奏会とは少し違う、演奏者とお客様との距離が近い時間になりそうです。

僕自身も、どんなコンサートになるのか楽しみにしています。

そして、この瀬戸でのコンサートの3日後、10月27日には、僕は再び能登半島の珠洲市へ向かいます。

瀬戸で震災についてお話しして、その3日後には実際に能登へ向かう。

今年の秋は、僕にとって改めて「音楽と復興」について考える時間になりそうです。

お近くの皆さま、よろしければぜひお越しください。

僕も皆さんとお会いできることを楽しみにしています。



コンサート・インフォメーション

松江観光大使 斉藤浩による
イール・ツィンバロンコンサートと震災の話

日時
2026年10月24日(土)14:30~

会場
ナトゥール・ビュフェー 文化センター店
愛知県瀬戸市西茨町113-3
瀬戸市文化センター 文化交流館2階

会費
2,000円+投銭
(トランシルヴァニアの保存食を活用した軽食と飲物付)

予約優先

お申し込みはこちら
https://forms.gle/A19n6saiXekeFb4M7

アクセス

名鉄瀬戸線「尾張瀬戸」駅から南に徒歩約13分

東名高速道路「名古屋I.C.」「長久手I.C.」から車で約30分

東海環状自動車道「せと赤津I.C.」から車で約10分

※瀬戸市文化センターに無料駐車場あり

お問い合わせ

ナトゥール・ビュフェー

TEL:070-1078-0781
E-mail:naturkert2015@gmail.com

Facebook
https://www.facebook.com/naturbufe

Instagram
https://www.instagram.com/naturbufe/

主催

ナトゥール・ビュフェー
トランシルヴァニア日本民俗文化センター

後援

駐日ハンガリー大使館
リスト・ハンガリー文化センター
愛知県ハンガリー友好協会

2026年09月07日

夏の終わりのバラトン湖

このところ眠れず、夜中に昔の写真を見ていたら、懐かしい景色が出てきました。

ハンガリーのバラトン湖です。

この写真を撮ったのは、バラトン湖に突き出した半島にあるティハニという小さな街(村)。

僕はハンガリー留学中、ELTEバルトーク合唱団(Eötvös Loránd Tudományegyetem Bartók Béla Énekkara)の団員としてテノールパートを歌っていました。

そして毎年、夏の終わりになると、合唱団のコンサートでティハニを訪れていました。


僕は、この場所から眺めるバラトン湖が大好きでした。

夏の終わりの湖はとても静かです。

空と湖の境目がわからなくなるような淡い色の中を、船がゆっくりと進んでいく。

毎年ティハニへ来るたびに、この景色を見るのを楽しみにしていました。

ハンガリーには海がありません。

でも、広いバラトン湖をこうして高いところから眺めていると、まるで海を見ているようでした。


僕のハンガリー留学というと、どうしてもツィンバロンの勉強や演奏のことが中心になります。

でも、以前にも少し書いたように、僕の留学生活にはもう一つ、合唱という世界がありました。

ELTEバルトーク合唱団では、ハンガリーの作品だけでなく、さまざまな時代、さまざまな国の作品を歌いました。

演奏旅行にも出かけました。

夏や冬には合宿もありました。

そして、たくさんの仲間ができました。

音楽院でツィンバロンを勉強している時間と同じくらい、みんなと歌い、旅をして、食事をして、笑っていた時間も、今の僕を作ってくれた大切な時間だったと思います。

ティハニも、そんな場所のひとつでした。

コンサートで訪れる場所なのに、僕が今でも強く覚えているのは、本番のことだけではありません。

毎年見た、このバラトン湖の景色です。

あれから20年以上が経ちました。

写真を見ていると、湖を眺めていた頃の自分や、一緒に歌っていた仲間たちのことを次々と思い出します。

今は、なかなか眠れない日が続いています。

まだ楽器の前に座ることもできません。

真横には、いつものツィンバロンがあります。

弾きたい気持ちはあるのですが、今はまだ身体がそこまでついてきてくれません。

そんな中で昔の写真を眺めていると、不思議と忘れていた景色や匂い、人の顔、食べたものまで、ひとつずつ戻ってきます。

今日、この写真を見つけたとき、

「ああ、毎年この景色を見るのが楽しみだったなぁ」

と思いました。

それだけで、少しだけ昔の自分に会えたような気がしました。

夏の終わりのバラトン湖。

今年の夏も、もう終わろうとしています。

今はまだ、できないことがたくさんあります。

それでも、こうして文章を書くことはできます。

昔のことを思い出すこともできます。

だから今日は、この大好きだった景色を残しておこうと思います。

そして今日も、僕はここにいます。

2026年09月06日

今年も松江に『鼕』の音が響く季節がやってきます

今年も「松江祭鼕行列」の季節が近づいてきました

今年も、松江の秋を代表する伝統行事「松江祭鼕行列(どうぎょうれつ)」の季節が近づいてきました。

2026年の松江祭鼕行列は、10月18日(日)に開催される予定です。

松江に住んでいると、この季節になると町のあちらこちらから鼕を練習する音が聞こえてきます。

「ドーン、ドーン」と響く大きな鼕の音。

僕にとっては、この音を聞くと、

「今年も秋がやってきたなぁ」

と感じます。

松江祭鼕行列。大きな鼕を打ち鳴らしながら、松江の町を進みます。

「鼕行列」って何?

松江祭鼕行列は、毎年10月の第3日曜日、松江神社の例大祭に合わせて行われる、松江の開府を祝う伝統行事です。

「鼕(どう)」というのは、大きな太鼓のこと。

直径約1.2メートルから1.8メートルもある鼕を2~3台、提灯や幔幕などで飾られた「鼕宮(どうみや)」と呼ばれる屋根付きの山車に載せます。

そして、揃いの法被を着た人たちが鼕宮を引き、笛やチャンガラのお囃子に合わせて、大きな鼕を打ち鳴らしながら松江の町を進んでいきます。

あの大きな鼕が一斉に鳴り響くと、音を「聴く」というより、身体全体で振動を感じるような迫力があります。

松江観光協会によると、子どもたちが綱を引くときの

「ホウホエンエ ホウランエンエ エヤサノサイ ラノラノラ」

という掛け声も鼕行列の特徴です。


鼕行列には長い歴史があります

鼕行列の歴史をたどると、平安時代から京都で行われていた正月行事「左義長(さぎちょう)」につながるとされています。

松江では、江戸時代に「左義長」「とんど」として行われ、明治時代には11月3日に鼕を出して祝うようになりました。

そして大正4年(1915年)、大正天皇の御大典の際に、各町が大きな鼕を載せた屋根付きの山車を作って行列したことが、現在の鼕行列につながっています。

昭和35年(1960年)には松江市鼕行列保存会が結成され、現在では10月の第3日曜日に開催されています。

長い年月をかけて、町から町へ、人から人へと受け継がれてきた松江の大切な文化なんです。


2026年は10月18日(日)開催予定

今年の松江祭鼕行列は、

2026年10月18日(日)

に開催される予定です。

松江市鼕行列保存会の発表では、13時から式典が行われ、13時25分に先頭が出発する予定となっています。

また、前日の10月17日(土)には「宵宮(前夜祭)」も予定されています。

交通規制なども行われますので、お出かけになる方は事前に最新情報を確認されることをおすすめします。

今年も松江の町に、あの大きな鼕の音が響きます。

松江に住んでいる僕にとって、鼕行列は単なる観光イベントではなく、「松江の秋の音」のような存在です。

今年はどんな鼕の響きを聞かせてくれるのか……。

今から楽しみにしています。


鼕行列について詳しく知りたい方へ

歴史や参加する町内・団体、今年の開催情報などは、松江市鼕行列保存会の公式サイトで詳しく紹介されています。

[松江市鼕行列保存会 公式サイト](https://www.dogyoretsu.jp/?utm_source=chatgpt.com)

観光で松江を訪れる方には、写真とともに鼕行列を紹介している松江観光協会のページも分かりやすいです。

[松江観光協会「松江祭 鼕行列」](https://www.kankou-matsue.jp/event_calendar/event_list/418/423?utm_source=chatgpt.com)

松江市による歴史や由来の紹介はこちらです。

[松江市「松江市鼕行列保存会」](https://www.city.matsue.lg.jp/kanko_bunka_sports/dentoubunka-bunkageijyutu/dentoubunka/traditionalculturecouncil/17877.html?utm_source=chatgpt.com)

2026年09月05日

【おしらせ】 クリスマスにひびく、ハンガリーの音色


クリスマスにひびく、ハンガリーの音色

今年のクリスマス、12月25日(金)に、島根県芸術文化センター「グラントワ」でツィンバロンを演奏させていただくことになりました。

タイトルは、

「ツィンバロンコンサート クリスマスにひびくハンガリーの音色」

会場は美術館ロビー。18時30分開演、19時10分終演予定の、小さなクリスマスコンサートです。

今回はヴァイオリンの福間志保さんと一緒に、ハンガリー民謡をはじめ、NHK大河ドラマ『べらぼう』で僕が演奏させていただいた音楽なども交えながら、ツィンバロンのさまざまな表情を楽しんでいただこうと思っています。


僕が届けたいのは「珍しい楽器」だけではありません

ツィンバロンという名前を、初めて聞く方も多いと思います。

たくさんの弦を、両手に持った2本のバチで叩いて演奏する、ハンガリーを代表する打弦楽器です。

僕はこの楽器を学ぶためにハンガリーへ渡り、長い時間をこの国で過ごしました。

でも今回、僕が皆さんに届けたいのは、


「こんな珍しい楽器がありますよ」

ということだけではありません。

ツィンバロンの向こう側にある、ハンガリーという国の空気や、人々の暮らし、そして音楽そのものを感じてもらえたらと思っています。

僕にとってハンガリーの音楽は、楽譜に書かれた音を正確に並べれば出来上がるものではありません。

時には激しく、時にはとても繊細で、どこか懐かしくて、そして人間臭い。

そんな音楽です。

僕自身がハンガリーで暮らしながら感じてきたものも、演奏と一緒に少しお話しできればと思っています。


クリスマスだからこそ、楽しい時間に

そして今回は、12月25日。

クリスマス当日です。

だから僕は、堅苦しい演奏会にはしたくありません。

もちろん演奏するときは真剣です。

でも、客席で身構えて「クラシック音楽を勉強する」ような40分ではなく、

音楽を聴いて、ちょっと笑って、知らなかった楽器を間近で見て、気がついたらハンガリーを少し身近に感じていた。

そんな時間になったらいいなと思っています。

その日の天気も、お客様の雰囲気も、会場の空気も、そのときになってみなければ分かりません。

それも含めてライブです。

その日、その場所に集まった皆さんと一緒に、12月25日にしか生まれないコンサートを作りたいと思っています。


ツィンバロンを実際に鳴らしてみませんか?

今回は演奏を聴いていただくだけではなく、ツィンバロンの演奏体験も予定されています。

これは僕も楽しみにしています。

テレビや写真で見たことはあっても、実際のツィンバロンをすぐ近くで見る機会は、島根ではそう多くないと思います。

まして、自分でバチを持って音を出してみる機会となると、もっと少ないでしょう。

「ツィンバロンって何?」

という方こそ、大歓迎です。

僕は、こういう出会いをとても大切にしています。

最初から楽器について詳しく知っている必要なんてありません。

「なんだ、この楽器?」

そこから始まれば十分です。

実物を見て、音を聴いて、できれば触れてみる。

そして帰るころに、

「ツィンバロンって面白いね」

と思ってもらえたら、僕にとってはとても嬉しいことです。


クリスマスの夕方、グラントワでお待ちしています

このコンサートは、鑑賞無料・申込不要・出入り自由です。

小さなお子さんから大人の方まで、どなたでも気軽にお越しいただけます。

「クリスマスだから、ちょっとグラントワへ行ってみようか」

そんな感じで大丈夫です。

40分だけ、いつもの島根を離れて、

ツィンバロンとヴァイオリンの音色で、ハンガリーへ小さな旅をしてみませんか?

12月25日。

グラントワの美術館ロビーで、たくさんの皆さんにお会いできることを楽しみにしています。


ツィンバロンコンサート
「クリスマスにひびくハンガリーの音色」

2026年12月25日(金)
18:30開演/19:10終演予定

島根県芸術文化センター「グラントワ」
美術館ロビー

ツィンバロン:斉藤 浩
ヴァイオリン:福間 志保

鑑賞無料・申込不要・出入り自由

2026年09月04日

「わからない」を残すことも、伝承だと思う

「わからない」を残すこと…

演奏の現場で経験したことも、僕にとって大切な資料のひとつです。わかったことだけでなく、わからなかったことも含めて、できるだけ正確に残していきたいと思っています。


ツィンバロンを長く演奏していると、ときどき「昔はどうだったのですか?」「これはどこから始まったのですか?」といった質問を受けることがあります。

もちろん、長く勉強してきたからこそ答えられることもあります。

先生から直接教わったこと。
実際に演奏の現場で経験したこと。
楽譜や資料を調べて確認できたこと。
留学中に見たり聞いたりしたこと。

でも、長くやっているからといって、何でも知っているわけではありません。

知らないことは、知らない。

そして最近、僕はこの「知らない」ということも、きちんと記録しておく必要があるのではないかと思うようになりました。


「伝えられてきたこと」と「確認できること」は同じではない

音楽の世界には、先生から弟子へ、そしてまた次の世代へと伝えられてきたものがたくさんあります。

僕自身も、先生方から本当に多くのことを教わってきました。

奏法や音色についてはもちろん、作品について、楽器について、昔の演奏家について…。

そうしたものは僕にとって、とても大切な財産です。

ただ、

「先生から聞いた」ということと、
「歴史的な事実として確認できた」ということは、必ずしも同じではありません。

先生にも記憶違いはあるかもしれません。

時代によって考え方が変わることもあります。

ある地域では当然とされていたことが、別の地域ではまったく違っていた、ということもあります。

そして、資料そのものが残っていないこともあります。

だから僕は、先生から教わったことを大切にしながらも、

「これは僕が先生から直接教わったことです」

「これは資料で確認することができます」

「これは伝聞として聞いたものです」

「これについては、現在のところ僕には確認できません」

ということを、できるだけ区別して残したいと思っています。


わからないものを、わかったことにしない

これは、とても大切なことだと思っています。

たとえば、誰かが昔、

「おそらく、こうだったんじゃないかな」

と言ったとします。

それを聞いた次の人が、

「先生から、こうだったと聞きました」

と伝える。

さらにその次の世代になると、

「昔はこうでした」

となってしまうかもしれません。

最初は一人の推測だったものが、いつの間にか「事実」になってしまう。

そして、それが何十年も繰り返されれば、今度は「伝統」と呼ばれるようになるかもしれません。

僕は、それを怖いと思います。

だからこそ、

わからないものを、わかったことにしない。

これは、伝承に関わる人間の責任の一つではないかと思っています。


「わからない」という記録は、次の人への宿題になる

「わかりません」と書いてしまえば、そこで終わってしまうようにも思えます。

でも、僕はむしろ逆だと思っています。

「現在のところ確認できない」

という記録が残っていれば、10年後、20年後の誰かが、新しい資料を見つけるかもしれません。

今まで公開されていなかった楽譜が見つかるかもしれない。

昔の演奏家の記録が出てくるかもしれない。

別の国の資料と結びついて、それまでわからなかったことが明らかになるかもしれません。

つまり、

「わからない」という記録は、未来の人に残す問いでもある。

僕はそう考えています。

だから、わからないことを書くのは恥ずかしいことではないと思っています。

むしろ、わからないことをわからないまま残すことで、次の人がそこから研究を始めることができます。


先生にも間違いはある

僕は以前から、

先生にも間違いはある。
でも、それをお互いに理解しながら、次のステップへ上がっていけるのが伝統だ。

と思っています。

伝統というのは、先生の言ったことを一字一句そのまま繰り返すことではないと思うのです。

もちろん、先生から受け取ったものは大切にする。

でも、自分でも考える。

調べる。

演奏して確かめる。

違う資料が出てきたら比較する。

そして、わからなければ「わからない」とする。

そうやって少しずつ次へ進んでいくことも、伝統を受け継ぐことなのでは…と思うのです。


僕がこのサイトに残していきたいもの

僕はこのサイトに、ツィンバロンについてできるだけ多くのことを残していきたいと思っています。

でも、僕が残したいのは、

「斉藤浩は何でも知っている」

という記録ではありません。

そんなことはあり得ません。

僕自身が長年勉強し、演奏してきた中で、

何を教わったのか。

何を経験したのか。

何を資料で確認できたのか。

そして、

何がまだわからないのか。
何が現在のところ検証できないのか。

そこまでを含めて残しておきたいと思っています。

僕が知らなかったことを、将来誰かが明らかにしてくれたら、それでいい。

むしろ、それがいい。

伝承者というのは、すべての答えを持っている人ではないと思います。

どこまでがわかっていて、どこからがまだわからないのか。
その境界を、できるだけ正確に次の世代へ渡す人。

それもまた、伝承者の大切な役割なのではないかと…。

そして僕自身も、これからまだまだ勉強していきたいと思っています。


2026年9月3日
ツィンバロン・ディプロマーシュ 斉藤浩

2026年09月03日
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