ツィンバロンで旅する中近東―『CARAVAN』
今回ご紹介する動画は、僕が以前制作した『CARAVAN』というPVです。
この曲はもともと、コマーシャルで使用するBGMとしてご依頼をいただき、作曲したものでした。タイトルのとおり、広い砂漠を進んでいく隊商(キャラバン)の姿を思い浮かべながら聴いていただけたらと思います。
ツィンバロンというと、ハンガリーの民族音楽を演奏する楽器という印象を持っている方も多いかもしれません。しかし実際には、ハンガリー音楽だけでなく、さまざまな国や地域の音楽に不思議なほどよく馴染む楽器です。
ツィンバロンは、その祖先をたどると中近東の打弦楽器につながるともいわれています。そのため、この楽器を使って中近東を思わせる音楽を作ることもできます。ただし、音程が固定されたツィンバロンでは、中東の伝統音楽で使われるような繊細な微分音まで表現することは難しく、そこは少し残念に感じたところでもありました。
僕は大学生の頃、イランの打弦楽器「サントゥール」を学んでいました。そこで身につけた旋律の動きや装飾の感覚を思い出しながら、この曲でも中近東風の旋律を自分なりに模して演奏しています。
ハンガリーで学んだ伝統的なツィンバロンの使い方とは、かなり異なる演奏です。でも、ツィンバロンではこういう音楽もできるんです。
NHK大河ドラマ『べらぼう』の作曲家、ジョン・グラムさんが僕に伝えてくださったように、僕も「ツィンバロンはグローバルな楽器」だと感じています。国や文化の境界を越えて、聴く人の想像をさまざまな場所へ運んでくれる―それも、この楽器の大きな魅力のひとつです。
『CARAVAN』を聴きながら、ツィンバロンの音色と一緒に、少しだけ遠い異国を旅するような気分を楽しんでいただけたら嬉しいです。 この曲は、僕のアルバム『Life』にも収録されています。
ぜひ、映像とともにお楽しみください。