再び、奥能登「珠洲市」へ
10月27日、再び珠洲市へ。ツィンバロンとともに伺います。
この秋、再び石川県珠洲市を訪れ、ツィンバロンを演奏する機会をいただくことになりました。
今回は、NPO松江音楽協会主催のもと、松江市文化協会、そして駐日ハンガリー大使館をはじめ、多くの皆様のお力添えをいただいての訪問となります。
松江市と珠洲市は、姉妹都市として長いご縁で結ばれています。
その珠洲市で再び演奏する機会を与えていただけたことを、僕はとてもありがたく思っています。
僕自身、阪神・淡路大震災の被災者の一人です。
そして東日本大震災のあとには、ツィンバロンを車に積み、被災された地域を訪ねながら、約8年間にわたって復興支援の演奏活動を続けてきました。
あの頃のことを振り返って、今でも強く心に残っている言葉があります。
それは、「一期一会」です。
被災された地域では、誰もがそれぞれの場所で、新しい生活へ踏み出そうと懸命に歩いておられました。
そんな大変な時間の中で、僕を迎えてくださり、ツィンバロンの演奏を聴いてくださった。
その一つひとつの出会いは、僕にとっても、かけがえのないものでした。
おそらく当時、僕が訪ねた地域のほとんどの方は、「ツィンバロン」という楽器を見たことも、音を聴いたこともなかったと思います。
「ずいぶん大きな、変わった楽器がやってきたなぁ」
そんなふうに思われた方もいらっしゃったかもしれません。
それから年月が流れました。
そして2025年、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』のテーマ音楽の冒頭で、ツィンバロンの音が鳴り響きました。
テレビから流れてきたあの音を聴いて、
「もしかして、あの時の斉藤さん?」
と、どこかで思い出してくださった方が一人でもいらっしゃったら……。
なんだか、とても嬉しいんです。
一度きりだったはずの出会いが、何年もの時を越えて、音楽によってもう一度つながる。
「一期一会」という言葉は、一度会ったらそれで終わり、という意味ではないのかもしれません。
一度出会った人のことを心のどこかで覚えていて、遠く離れていても、ふとした瞬間に思い出す。
僕にとって復興支援の演奏活動は、そんな小さなご縁をたくさんいただいた時間でもありました。
そして今、珠洲市の皆さんとも、松江市との「姉妹都市」というご縁を通して、少しずつつながり始めています。
島根半島と能登半島。
海があり、山があり、その自然の中に町があり、人々の暮らしがある。
実際に珠洲を訪れると、どこか松江や島根に通じるような風景や空気を感じることがあります。
遠く離れているはずなのに、不思議と近く感じるのです。
だからこそ僕は、今回の演奏を「一度訪ねて演奏して終わり」にはしたくありません。
音楽にできることは、決して大きなことばかりではありません。
それでも、一緒に同じ時間を過ごして、同じ音を聴いて、少し話をして、顔を覚える。
そんな小さな積み重ねから、人と人とのつながりは生まれていくのだと思っています。
珠洲市と松江市が、これからもっと強い絆で結ばれていくことを願って。
そして僕自身も、そのご縁の中にいる一人として。
10月27日、再び珠洲市へ参ります。
ツィンバロンと一緒に。
珠洲の皆さんと再会できること、そして新しい出会いがあることを、今から楽しみにしています。